津波を想定した高さ22メートルの防波堤で浜岡原発は守れるのか

津波が集中しやすい地形、震源域の上に立つ中電浜岡原発

東海地震が発生したら、静岡県御前崎市の震源域の上に立つ中電(中部電力浜岡原発)近辺は、浅い海底が外洋に突き出すように広がっているため津波のエネルギーが集中しやすい地形であることが東京大地震研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)准教授(地震学)の分析で明らかになりました。福島第一原発も地震の揺れには耐えましたが津波の浸水により「冷やす機能」が使えなくなりました。津波によって冷やす機能が使えず燃料が水素爆発を起こし放射能物質が放出したのです。

 

中部電力は、1854年の安政東海地震や津波を基準にしておりシミュレーションをしており原子炉建屋も揺れに強いピラミッドのような安定した構造になっています。当初は、津波の最高水位を15メートルを想定していましたが東日本大震災での福島第一原発事故を受け18メートル、最大で22メートルの高さで防波堤を築きました。しかし時速1000キロで飛ぶジェット機の250基分と試算されている津波に耐えうるだけの強度とは思えません。

 

防波堤が高ければ安心??

 

日本一の防波堤、万里の長城と呼ばれていた岩手県宮古市田老の防波堤は、市街を囲むようにできた壮大な城壁のような防波堤でしたが2011年東日本大震災では、無残にも一瞬にして倒壊しました。目撃者の話では津波の高さは、防波堤の倍はあったそうです。自分たちの地域には、立派な防波堤があるという安心感から多くの人が逃げ遅れたという声もあったようです。
田老地区は「津波太郎」と異名がつくほど津波が多い地域で1611年の地震では、345戸中1件残さず345戸全滅。1896年(明治29年)では345戸が一軒残さず流され1933年(昭和8年)でも559戸中500戸が流失し甚大な被害を受けています。1958年(昭和33年)に日本一の防波堤が完成しました。しかし2011年の東日本大震災では、1467棟中979棟が流出しました。過去の災害を想定にしてもそれを超えてくる自然の猛威、1000年に1度と言われる災害地震が発生したら「絶対安全、絶対安心」は、ありえないのだと思いました。

防波堤

浜岡原発が建っている地域は、150年前の安政の大地震など200年周期でM8クラスの地震が発生しているので岩盤に断層や亀裂があり地震に弱い地盤といわれています。東海地震が発生した場合、震源域は駿河湾といわれています。震源地に近い場所に、浜岡原発があります。

 

1976年に運転を開始した1号機は、強震(震度5)の地震は、80年に1度。烈震(震度6)は、250年に1度。激震(震度7)は、400年に1度と地震が発生しにくいと想定された上で建設されました。1号機、2号機は、2009年に運転を終了しています。3号機は、東日本大震災を受け当時の内閣総理大臣菅直人氏は、停止を発表。運転中の4号機、5号機を停止を決定しました。

 

また1号機2号機の廃炉に伴い2016年に着工予定だった6号機は、平成30年代前半(2020年前後)」運転開始を予定していましたが計画そのものが削除されたようです。

 


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浜岡原発からの避難先イメージ

 

浜岡原発からの避難先イメージ


想定される被害

地震は揺れだけではなく様々な被害をもたらします。

 

人的被害・・沿岸部の行方不明者
建物被害・・半壊、全壊、火災による二次被害も。
ライフラインの停止・・水道、下水道、電力、電話、ガス、通信の停止
鉄道被害・・新幹線の高架の倒壊や安全確認のための停止
道路被害・・高速道路が通れない、普段通っている道や橋が通れなくなる

 

東海地震が発生したら、静岡、愛知、山梨と広範囲に揺れが発生し軟弱地盤は液状化を起こす、静岡三重県の沿岸部は津波が心配され山間部ではがけ崩れなどが心配されます。東海地震が発生した場合、家屋に被害を被った160万人が避難所生活を余儀なくされると考えられておりトイレは、初日に不足すると考えられています。地域や行政による防災は、満足のいくものではないことを肝 に命じておき自分の家族は、自分で守る気持ちでそなえておかなければなりません。

地震がもたらす被害、津波や液状化現象

東南海地震や南海地震は、海溝型なので海の中が震源地です。

海溝名 地震発生確率 予想マグニチュード
南海トラフ 10年以内に20%、30年以内に70%、50年以内に90% マグニチュード8〜9

1952年に発生した東海地震と南海地震は、わずか34時間のタイムラグで発生しました。わずか数例とはいうものの東海地方は、海溝型地震と断層型地震両方の危険度が高い地域です。参考:日本の主な活断層と地震危険地帯

1位、糸魚川?静岡構造線断層帯

30年以内の発生確率14%、予想マグニチュード8

2位、富士川河口断層帯

30年以内の発生確率0.2~11%、予想マグニチュード8

3位、奈良盆地東縁断層帯

30年以内の発生確率14%、予想マグニチュード7.5

4位、森本・富樫断層帯

30年以内の発生確率0〜5%予想マグニチュード7.2

5位、神縄・国府津?松田断層帯

30年以内の発生確率3.6%予想マグニチュード8

6位、函館平野西縁断層帯

30年以内の地震の発生確率0〜1%予想マグニチュード7.0〜7.5

7位、養老?桑名?四日市断層帯

30年以内の地震の発生確率0〜0.6%予想マグニチュード8

8位、鈴鹿東縁断層帯

30年以内の地震の発生確率0.5%予想マグニチュード7.5

9位、生駒断層帯

30年以内の地震の発生確率0〜0.1%予想マグニチュード7.0〜7.5

10位、有馬?高槻断層帯

30年以内の地震の発生確率0〜0.02%、予想マグニチュード7.5

 

 

マグニチュード9.0だった東日本大震災は、1900年以降に発生した地震の中でも世界で4番目に大きなもので国内では観測史上最大の地震といわれました。

1位は、1960年に発生したマグニチュード9.5のチリ地震
2位は、2004年に発生したマグニチュード9.1〜 9.3規模のスマトラ島沖地震  
3位は、1964年に発生したマグニチュード9.2のアラスカ地震
4位が、2011年に発生したマグニチュード9.0東日本大震災
5位が、1952年に発せいたマグニチュード9.0カムチャツカ地震

 

発生した津波の高さは、岩手県大船渡で8メートルに及びました。宮城県石巻市では、8.6メートル。原発のあった福島県相馬では、9.3メートルの津波が観測されました。床上浸水や家屋倒壊など溺死が多かったのが東日本大震災の特徴でした。

また広範囲に及び液状化現象によるライフラインの一時休止、道路や建物への影響も大きく公共交通機関がストップしました。また季節や時間帯によっては火災の被害が拡大することもあります。乾燥しやすい冬などは、あっというまに延焼が広がり地震によって思わぬ二次災害や被害が広がることも考えられます。

熊本地震では車中避難が47%だった

相次ぐ余震が続いた熊本地震。地震が発生し自宅以外に身を寄せた場所を「自動車の中」と答えていました。余震が続くので建物の中より車の方がプライベートが保たれると考えた人が多かったようです。避難所に行かない選択をした場合、物資供給所の情報が届きにくい、エコノミークラス症候群のリスクが高まるなどの問題点がありますが、小さいこどもがいる家庭、高齢者や障害者や認知症の家族がいる家庭などは、さまざまな理由で周りの目を気にして避難所より自動車という選択をする方が多かったと考えられています。

 

避難所生活で問題になるのがトイレ問題。上下水道が復旧しないとトイレは使えるようになりません。地域によっては非常時下水に繋がるマンホールトイレを設置する地域もあります。大災害が起こると停電して断水するので給水排水設備が損壊するため水洗トイレは使えなくなります。

 

水が出ないトイレは、すぐに大便小便の山になります。

 

東日本大震災でも仮設トイレが設置されたのは震災後4日目以降でした。排泄は、自然災害が起こったとしても我慢することができません。阪神淡路大震災では、被災者は3時間以内にトイレに行きたくなったと答えており東日本大震災の被災者は、3時間以内に31%。9時間以内に78%がトイレに行きたくなったと回答しています。

 

冬は寒くて暗くて怖い・・そして臭くて汚くて不衛生なトイレに行きたくてなくてギリギリまで我慢する人も多かったようです。また仮設トイレも便槽が満杯になり使用不可の張り紙がされたトイレもあったようです。

 

災害用トイレの種類 特徴 問題点や工夫すべき点
携帯トイレ 断水時、排水不可能でも備蓄していれば使える。屋内のトイレを利用できる。 大便が臭うので袋を2重にするなど工夫が必要。小便は、検尿のときのように紙コップにする。ペットボトルに入れて蓋をしめておく。紙おむつなどに染み込ませる。
簡易トイレ 断水時、排水不可能でも備蓄していれば使える。屋内のトイレを利用できる。 大便が臭うので袋を2重にするなど工夫が必要。小便は、検尿のときのように紙コップにする。ペットボトルに入れて蓋をしめておく。紙おむつなどに染み込ませる。
マンホールトイレ

地震が発生した直後から設置、使用可能。臭気、衛生面に優れている
1基あたり50人から100人使用可能。

カギ、照明などの点、費用。学校のプール水、雨水、下水再生水、貯水槽、井戸水、池、河川の水を水源とする。断層型地震で普段流れるはずの河川敷に変化がないとはいえない。また地盤沈下が置きていると使えないこともある。
仮設トイレ 堅牢な作り、花火大会や屋外ライブなどイベントで使用されている 入り口が段差になっていることが多い。和式トイレが多いので膝や腰、足の弱い高齢者は用をたしにくい。

トイレット・ペーパー、サニタリーボックス、サニタリー用品なども必要。

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